言葉から創造がはじまる【第1回紙ブログ新聞セミナー2015より】

日々の営みで筆記具を持つことに注目してみよう

20150315 1月も2月も去ってしまい、年度末でどこもバタバタとする季節ですね。フジイ企画でも学校関係の納品を次々と終え、ほっとしたのもつかの間。いまは選挙宣伝物関係の仕事が入ってきています。ブログニュースも少し停滞気味…ご無沙汰しておりまして申し訳ありません。(な)

 

今年は「楽しく永続きする新聞づくり」をサブテーマに
 さてそんな近況ですが、2月27日(金)に第1回目の『〝紙ブログ〟新聞セミナー2015 』を開催しました。以前お知らせした通り、昨年度から続けていた『〝紙ブログ〟広報セミナー』の2015年度版ということになるのですが、今年は今までの内容にプラスして「楽しく永続きする新聞づくり」をサブテーマに、「新聞づくりって何」を少し掘り下げて考えていきたいと思います。

作文のプロではないけれど…
 新聞づくりといえば…テーマを考える?写真を撮る?レイアウトする?など色々なプロセスがありますが、大前提となるのは「文章を書く」、もっと端的にいえば「文字を書く」ことがスタートですね。新聞発行のためには定期的に記事(文章)を書き続ける必要がありますが、まとまった文章を作るなんて、作文のプロでもないのに難しい…と思って二の足を踏んでいる方がほとんどかもしれません。

〝書く〟ということを改めて考える
 今回は第1回目ということもあり、そもそも「〝書く〟ってどういうこと?」というところからスタート(テーマ名「言葉から創造が始まる〜〝書く〟ことで生まれる価値と方向性〜」)します。世の中にはブロガーと呼ばれる人がいたり、家族新聞などを楽しく配信したりする人がいますよね。「私たちもやっやってみたい」とは思っているけどなかなか取り組めないって人も多いので、今回はまずはここから…。

1日でどのくらい筆記具を使ってますか?
 今回は「新聞づくり」ということはひとまず置いておいて、まず日常的な「「書く」ということから検証してみました。ところで一日のうちに筆記具(鉛筆・ボールペンもしくはワープロ)を使ってものを書くことって、どのぐらいあるでしょうか?そして何の目的で?…。改めて考えてみると、人との会話のメモや日程の約束、会議の要約など、どんな人でも一日に1回ぐらいは筆記具を使っているようですね?

「書く」ことで頭にあることを「モノ」にする
 それは「約束を忘れないため」とか「思いついた」こととか理由は色々だけど、つまりは頭の中でしまいきれないことを外に出すってことですね。ちょっと飛躍した話になりますが、これを「外化する(藤井の造語?)」と言ってます。つまり書くというのは見えないものを外に出す=物質化する。紙に印刷された新聞も本も頭の中にしかなかった経験や概念を「外化」することでみんなで共有できる「モノ」に(物質化)することだと思っています。

世の中のすべての事象は「言葉」でできている
 その前に「言葉」ってなんでしょうか? 朝起きて夜寝るまで、毎日出会う人との関係や、嬉しい、悲しい、悔しいなどの感情、夜見る夢など、日常生活での出来事から思考が生まれ、それによって様々な感情を経験をします。この一連の心の流れも、よくよく観察してみるとすべて言葉を介していることに気が付くと思います。つまり言葉の存在がすべての生活を象っていて、これがなければ出来事や感情すら理解できない混沌状態…つまり「世界」は存在しないことになります。

「思考」を捕まえる作業が「書く」こと
 要は日々の暮らしは一人で孤独でいる時も含めて「言葉」で成り立っているのです。そこで、まずは頭の中で考えていることを書き出すところから始めてみてはどうでしょうか…という提案です。つまり無意識に流れる言葉を捕まえる作業が「書くこと」なのです。手帳に思いつくまま、とりとめのないことをメモしてみたり…(多分仕事なんかではきっとやってますよ)とにかく「書く」ことを習慣にしてみるのです。脈絡はどうでもいい。人に読ませることを前提にしていない「日記」なら毎日書いている人もいます。それでいいのです。

頭の中にあることを〝モノ〟の形に
 ここでお伝えしたいことは、重要なのは書いた「内容」ではなく「頭の中にあることを外に出す」ことなのです。自分の頭の中の混沌(モヤモヤ)を整理してからまとまった文章を書こうとするのはとても難しいです。なのでまず書き出してみるのです。そうして外に出したものは、自分から離れた「モノ」となって初めて客観的にみることができるのです。そこから新たなひらめきや方向性が生まれてくることを誰でも経験します。

〝ネタ帳づくり〟は創造の第一歩
 もちろん新聞や文学作品という形に落とし込むためには、「とりとめのないメモ」を脈絡ある文章へ整える必要があるのですが、それはまた別のステップということになります。思いついたものをすぐ書き出すということから、「それってネタ帳みたいなものやね」という話になりました。でも本当は〝ネタ帳〟以上の〝創造〟になります。いきなり記事作りは敷居が高いですし、まずは「ネタ帳づくり」からスタートしてみては?



共感=仕事以外のことを伝える【第10回“紙ブログ”広報セミナー2014より】

 もう12月に突入してしまいました。何かと気ぜわしく感じる時期ですね。フジイ企画でも年末の仕事を前倒しで取り組んでいるところです。11月28日は、年内最終の『第10回“紙ブログ”広報セミナー2014』を行いました。ワーカーズコープの細川社長には今回もご参加頂き、最新事例をもとに考えていきました。(キョーコ)

 
地域のコミュニティ紙に記事を投稿してみる!?
 この一年「ソーシャルメディアの発達した今、時代遅れに見える紙広報物にどんな効果があるか。ブログ・SNSを日常的にやっている人の紙広報物への取り組み方」を軸に、テーマ分けして進めてきました。今回のセミナーは番外編(よく番外編をしますが…)、『自社』を離れて、『地域のコミュニティ誌への投稿』といった一風変わった視点から、広報紙=新聞の意味を考えてみました。
 
広告記事は費用が発生します…ではなにを?
 地域コミュニティ紙といえば、広告ばかりを掲載した集合チラシの類とは異なり、地域に密着した生活情報をメインに掲載しています。自社新聞を発行する余力のない方は、ここへのコラム掲載などを申し出てみては…というお話です。「なんで?なにを?」。当然、自社の企業宣伝はできませんよね。「宣伝するなら広告料を払え」ってことになる。で、知恵を絞って、あえて生活情報として自分しか書けない記事を提供するのです。今回テーマは費用をかけずに本来の広報の力を試そうというものです。
 
で宣伝チラシと広報紙の違いを知ろう
 ただ、どんなコラムにすればいいかというのは課題です。その人(企業)ならではであって、地域の人に役立つ情報であるべきですから、ここはじっくり考える必要があります。自分の考え方やポリシーも大事です。こんな風に地域に密着した紙面に参加することから広報紙に取り組めば、宣伝と広報の意味がわかってきます。つまり、広報誌は単純に自社の商品・サービスを宣伝しているのではないということを…。では?
 
商品を買う決定要因は品質やブランド力ではない
 いつもお話しするのですが、『この商品(サービス)を買おう』と決定する第一要因はなんでしょうか。『商品の品質のよさ』や『企業の知名度』ではありません。ダントツが『担当営業マンが好きか嫌いか』(70%以上)です。つまり、商品購入のほとんどが、品質やブランド以上に営業担当者への信頼感が決定要因だということになります。広報紙のアプローチは、コミュニケーションづくり→信頼感→共感であるのですね。共感は本音のお付き合い。本物の時代はそこから始まります。そうした視点で紙面づくりに励みたいものです。
 
ブログに近い“新聞づくり”をめざして
 この一年『“紙ブログ”広報セミナー』と題してやってきました。この時代ならではの「広報紙づくりへの第一歩は、ブログを書くこと」が近道という趣旨です。ブログ、SNS(フェイスブックなど)を日常的にやっておられる方は、このコミュニケーション→信頼感→共感を経験的に理解されています。新聞づくりはそれに方向性(ベクトル)を示すこと。商品チラシとは違いますね。今回は、SNS(フェイスブック)→ブログ→HPの役割の違いと最終的にHPへフローも考えてみました。来年は『広報』という表現は抽象的なので単純に『新聞』という表現に変えてみたいと思ってます。またよろしくお願いいたします。



広報紙で“思い”を実現するナビ効果【第9回“紙ブログ”広報セミナー2014より】

  こんにちは。毎月開催してきた『紙ブログ広報セミナー2014』も、10月17日で9回目を迎えました。いよいよ来月で本年最終回となります。この2回は、「広報紙の本来の目的以外の効果」について、切り口を変えてお話を続けてまいりました。前回(第8回・9/26)では、『自己コンサルティング広報』?というテーマで、会社(組織)の企画や戦略づくり、ノウハウのマニュアルづくりなどの取り組みの成果アップには広報紙が効果的だというお話でした。第9回セミナーは、自分(自社)の想いを形に導く「ナビゲーション」効果について、今回も細川社長(ワーカーズコープ)とともに進めてまいりました。(な)

 
目標さえあれば自動的に導いてくれる効果って
 広報のナビゲーション効果? 前回のテーマ「自己コンサルティング」と切り口が似ているのですが、「こういうことをしたい」「こんな企業に…」という個人や組織のビジョンや目標があるなら、(広報紙で)それに沿ったカテゴリー=コラムを設定して継続するうちに、その目標に向かって自動的に導いてくれる…つまり車のナビシステムのような効果についてのお話です。
 
“思いを紙に表出することで見える地平線
 広報紙は基本的には定期発行が原則ですね。つまり継続したテーマで記事を書いていくと、これまでの足跡が目に見える形で残ります。今おぼろげでもやりたいことがあれば、まず言葉(文字)として表に出すことから何事もスタートしますよね。そこで頭のなかで色々と考えていることをまず外に出す。これを紙面の記事のコラムとしてやってみようということです。定期発行が原則の紙面でこれを続けると新たな地平線が見えてくることがあります。これは“思いの外化”と“あしあと(記録性)”の効果でしょうか。過去の積み重ねと経過が目に見えるから、「目的に向かってやってみよう」という気持ちにさせてくれます。
 
難しい課題も楽しく取り組める法則
 「何度も論議されていて“しなければならないこと”は大体“やりたくないこと”」と…うちの社長は考えているようですが、やらなきゃいけないと気負うより、自発的にやってみよう!と思うほうが当然うまくいいきますよね。実はこのテーマは、フジイ企画でもコラムで継続的にやっていて気づいた法則?でもあります。つまり、当初は「面白いかも…」ぐらいでコラムカテゴリーを立てただけなのに、継続するうちに思わぬ成果やアイデアが生まれたり、コラム自体のアイデンティティも確立するという効果です。
 
議論の経過を公開することで得た方向性
 これを自社の例で少し…。当社では千差万別な受注形態の見積もり価格を、可能な限り一覧表化してをネットで公開することになりました。でも、これまで当社の受注形態ではそんなことは不可能だと思っていました。ただ月1回開催している早朝営業会議内容を、毎月発行している『紙ブログNEWS』内のコラムに継続掲載することを始めてから、自動的に解決可能な課題となったのです。ラインナップとして受注前と納品後の取り組みの見直し→お客様のご要望ごとの分類の仕組み化→というテーマで順次掲載していく中で「価格表提示は必要」という命題に行き着いたのです。これは当初コラム立ち上げの時に予想していたことではありません。社内会議を議事録として残すだけだったとしたら、これ“永久課題”で終わったかもしれません。
 
目標の実現可能性などを考えなくても…
 今回のセミナーのタイトルヘッドはあえて“企業(組織)の…”という“冠”をはずしました。まず(個人の)思いをどのくらい表に出せるかということが大事なことですね。そういう意味で、今回のセミナーでは『経営指針を基礎に』とか、目標の“実現可能性”から考えるのをやめて、皆様が目的・目標にしたことや思いを“外化”することで導かれる効果をじっくり考えてみました。広報紙をたたき台に思いが実現する…これが、楽しく永続きする紙面づくりの本質に近いのかもしれません。
写真=読書談義を交えて…


広報紙発行は独自アイデンティティ形成に威力【第8回“紙ブログ”広報セミナー2014】

 9月も後半となり、夜はだいぶ涼しくなりました。2014年の『紙ブログ広報セミナー』も第8回目(9/26)となりました。今回も細川さん(ワーカーズコープ)とご一緒に進めさせていただきました。今回のテーマは「自己コンサルティング広報・広報紙発行は広報効果以上の価値」。毎回ホワイトボードにその日のテーマを貼っているのですが、細川さんが開口一番「自己コンサルティング???」。今回はこれまでの流れからこのテーマになったのですが、広報紙発行の目的は自らの企業(団体)の取り組みについて広く知らせることですね。ですが広報紙の効果と価値はそれだけではない。これが今回のテーマです。(な)

 
広報効果(読まれているか)だけを考えると続かない!?
 じゃあどんな効果が?という前に…。本来の広報紙の目的は、会社(団体)の商品・サービスや考え方を広く知ってもらおう…ということですね。ただ、それが読者にキッチリ届いている(伝わっている)かどうかを検証しようとしたら、実をいうとなかなか難しいのです。それが「手間の割に効果が見えない」として皆様が広報紙の発行自体を敬遠する理由の一つかもしれません。でも広報紙づくりづくりの意義はそれだけではありません。
 
広報紙の「記録性」という機能を利用して…
 広報紙の発行の取り組みを、もう少し別の角度で見てみようというのが今回の狙いです。過去のセミナーでもお話ししていますが、広報紙の機能のひとつに「記録性」というものがあります。ブログ・SNSは古いものはどんどん流れてしまいますが、広報紙は手に取れるカタチとして残ります。今回のお話は広報紙を利用して社内のスキル蓄積や、営業戦略作りそのものをやっていこうというものです。
 
「独自戦略」構築や「技術の伝授」「マニュアル」づくりそのものに利用
 広報紙を発行する本来の目的はひとます置いておいて、「自社の技術力アップ」、や「営業戦略づくり」のための皆様の取り組みを考えてみましょう。会社なら新しい時代を見据えて営業企画会議やら社内研修、また「ノウハウのマニュアル化」などいろんな取り組みをされてますね。今回は以前お話しした紙面の『コラム』化を利用して、文字通り「営業戦略作り」や自社の「スキル構築」「マニュアルづくり」にそのまま利用するのです。例えばこの「フジイ企画“紙”ブログNEWS」の中の、『早朝営業会議より』や今書いている『肌で感じる編集サロン』というコラムもそうです。
 
広報紙化で単なる“会議の議事録”を超えた生きた資料に
 『早朝営業会議より』は月に一度社内で行われる営業会議の内容について連載しているコラムです。いくつか読んでいただければ気づかれるかもしれませんが、これは単に会議の議事録ではありません。実際の会議では営業戦略についての到達点や問題点、社外秘の事項や生々しい話もあるのですが、それをそのまま掲載するのではなく、その時々のトピックスや自社特有のやり方や課題などエッセンスの部分を取り出し、加工して掲載しています。

読者の視点を通過する“戦略”や“ノウハウ”の大きな価値
 議事録と違う点とはなにかと言えば、社内で議論して練りこんだ内容でも「一般読者」を想定してポイントを絞って書き直すということです。広報紙として発行するためには、他の人が読んでも面白く・役立つような記事にするべきですよね。そのためには決まったことやノウハウでも内容を整理し、誰もがわかるようにする必要がありますね。この作業は思いのほか、会議のための会議から脱出して自己の振り返りになったり、新たな解決可能な課題が見えたり、そのものがノウハウになってくることになります。

心臓部のコラム化は組織の羅針盤づくりそのもの
 この広報紙の“記録性”という機能を利用して上記のように読者を意識して書いた記事は、簡単にまとめられていて、積み重なれば自身のテキストやマニュアルそのものに(しかも活字化されて)なります。私達も、会議を振り返るときによく『紙ブログ』バックナンバーを見て以前に構築したノウハウや決めごとを検証しながら進めるのです。これをまとめれば一冊のノウハウ本になります。つまり広報紙を継続すること自体が向かうべき方向の羅針盤となり、独自のアイデンティティが形成することにもなるのです。

10月は日程変更になります
 そういったわけで、今回は広報紙の「広報効果」とちがった価値についてお話いたしました。さて、次回セミナーは予定を変更して10月17日(金)18時からの開催となります。2014年度のセミナーも残すところあと2回(10月・11月)となりました。内容は1回ずつで完結するようにしていますので、初めてのご参加でも問題ありません。直前まで受け付けておりますので、ぜひお越しください!


紙面製作に“アナログ編集”って表現はおかしい!

 最近当社でも少なくなってきたのですが、機関紙や広報紙をお客様立ち合いのもとで、割付用紙(レイアウト用紙)を使って編集レイアウトする作業があります。新聞工程というのは短納期なので原稿入稿後に即、紙面を確定しなければ、後の工程に差し支えるからです。新聞タブロイド版なら担当1人で4面~8面分を1日で完全レイアウト(印刷仕上がり状態を確定)します。

編集現場に「アナログ」という概念はない
 こうした紙面づくりの現場に当社の新人スタッフや大学のインターン生を、実習として同行させる場合があるのですが、その報告や感想に「アナログ編集現場」「アナログ的…」などの表現がよく出るので甚だ困ってしまいます。編集という作業の理解の度合いが低いので仕方がないかもしれないが、編集現場ではアナログやデジタルという概念自体がナンセンスなので、今一度編集作業の根本的な理解が必要だと感じています。
 
割付作業は最短で“完成レイアウト”を行うこと。
 仕事の流れをお話しするとあたりまえのことですが、新聞の編集(割り付け)作業は当然、原稿締切り直後(それが日単位なのか時間単位なのかは別として)に開始。割付用紙(レイアウト用紙)に記事の流れ、見出しコピーと紙面デザインや文字飾り、写真の大きさやトリミングなどを確定。つまり最短時間で最終仕上り状態を決定することですね。そこでGOサインがでて初めて生産ラインの工程(組版→ゲラ出力→校正→製版→印刷)という手順になります。
 
アナログという言葉が出てくる背景は生産工程のデジタル化?
 アナログという言葉が出てくる背景にはには、技術革新で生産工程のほとんどがデジタル(コンピュータ)化されてきたこと。当然、新聞組版ラインも完全デジタル化されて久しい。アナログとはそれ以外の手仕事の総称として言ってるだけであろうが、編集現場はいかに時代が進もうと人間の頭脳を酷使する仕事であることに変わりはない。必要なのは編集作業の最短の効率追求と紙面の合理性と完結性(確定性)が求められるだけです。
 
背景に「デジタルの方が早い」とする根本的な勘違い
 その勘違いの最たるものと思われるのが、レイアウト用紙を使う手作業よりデジタルの方が早いと思っているフシがあること。編集作業は先にものべたように紙面割(どの面に何の記事を掲載するか)、同じ面でもどの記事をトップにするか、見出しをどのようにつけるか、そのスペース配分と字体とデザイン飾りは…。でもこれはいつでも人の頭脳作業です。ただ(デジタルの方が早いとする)勘違いの元凶と思われるのが、次々刻々入稿する記事の本数確定や文字量の計算です。今でも電卓をつかって…ですね。また写真のトリミングや縦横寸法出しなど。結構厄介でじゃまくさい作業が多いからでしょう。
 
「入力してから」では遅すぎる…どこまでも人の経験とスキル…職人仕事
 でも、紙面のレイアウト現場は、ギリギリの時間で上がってくる原稿がデジタル原稿か手書き原稿かは当然問えません。外部依頼原稿などはファックスや速達なんかで来る。イラストや写真もデジカメデータとプリントの混在。その日(時間内)のうちに紙面レイアウトを確定するのに、まず入力してから…では遅すぎる。「何しに来てるんや」と怒られますよね。だから今も昔もかわらない職人仕事なんですよ。デジタル化するより絶対に早いんです。そんな中での見出し(キャッチコピー)、レイアウト、見えない段階できれいなデザインを確定する。ここではなにより経験、スキルがモノをいう。職人仕事の世界です。



“認知度”が変わる広報紙の効果【第7回“紙ブログ”広報セミナー2014より】

  みなさんは本を読んでますか?先週22日(金)にも月一恒例『第7回紙ブログ編集セミナ

ー』でしたが、そこで常連参加の細川さんとうちの社長とでたびたび読書トーク?(書評?)が繰り広げられ、私はうんうんと聞いていても実は???……でした(すみません)。もっと活字の本で勉強しないとな…。(な)

 
進むべき方向性に全体を編成するのが広報紙
 さて、当日はそういった雑談?も含めつつ…セミナーもきっちり行いました。前回までのセミナーをおさらいしますと、「会社(コミュニティ)の人、スキル、技術を伝える」というテーマで、広報記事のカデゴリーづくりをしました。今回はその「カテゴリ」をさらに「各企画記事のタイトル(テーマ)案」へ昇華する流れを考えました。それには前提となる経営(運営)理念や事業方針が必要だということで、前2回のセミナーで整理しました。「うわっ、そこまでしなければあかんの…」ということになるのですが、「記事をカテゴリ別に振り分ける」という作業を始めると、結構このこと(会社・組織の方向性)がネックになってくるので、じゃあこの際、最初の理念づくりからのほうがいいし本質的でしょ…ということでミッチリやりました。このカテゴリー作業は、ブログを書いている人にとっては日常作業ですが、ブログをやってない人にとってはこの理念・指針のテーマに沿った「コラム」案をダイレクトに作るという作業になりますね。
 
つまり“伝える”とは伝達の速さとは違った観点が必要
 ブログ・SNSを日常やっている人は、ここまでの作業的は同様なのですが、ここからは広報紙としての機能について考えていかねばなりません。ネットと“紙”広報の役割・機能の違いって?今回はここからがテーマとなりました。
 毎回お話している通り、ネット(ブログ・SNS)は伝播力が圧倒的に強いこと、特にフェイスブックなどのSNSは「いいね!」などは記事がどの程度ヒットしているのかをある程度把握することができる利点があります。ただ会社(組織)の方向性をもって伝えたいときには速さや反応力とは違った観点が必要になってきますね。具体的に言うと、ブログなどはデータベースとしての階層構造になっていて更新を重ねるほど古い記事は埋もれてしまい読みにくくなります。だからというのではないですが…一つのカテゴリー、たとえば『社長の雑記帳』コーナーを拾い出すのはそれ相応の『読者側』の作業が必要になってきますね。
 
方向性を企画(編集)することでより確実に目的地に
 広報紙の役割と機能は伝播力よりも方向性(ベクトル)です。会社(組織)の方向性を表現するのに『社長の雑記帳』コーナーはどう読まれるべきか…という方向性が『発行側』に必要ですが、逆に主導権がこちらに移るということでもあります。ここで初めて“編集”という作業が必要になってきます。「この会社の社長なに考えてんねん」という人がいると想定して、こちらで見える方向に配信する作業が“編集”ということになるでしょうか。紙広報物がブログと大きく違う点は、一つの紙面に様々な記事が混在しているだけでなく、読者にとってお気に入りの『コラム』があれば、それがいつもの位置に配置されていて、それと連動して他の記事に引き込むといった効果をあらかじめ期待すること。そして紙面全体で方向性を意図して出すことですね。紙広報物にはこうした機能があります。これを今回当社のブログカテゴリーと『“紙”ブログ』のコラムタイトルの微妙な違いとして検証してみました。
 
だからブログ、紙広報物の使い分けが必要です
 このようにブログ・紙広報物にはそれぞれに役割があり、うまく使い分けることが大切ですね。このどちらにも「営業ツール」としての役割が大前提としてありますが、だからと言って媚びを売るような記事を書く必要はありません。今回の話は、ブログ・SNSが急速に発展した「現代」だからこその話題でした。

 



会社=組織が見える生きた紙面の第一歩【第6回“紙ブログ”広報セミナー2014より】

 先週の7月25日(金)、日が落ちてもかなりの暑さの中、第6回の「紙ブログ広報セミナー」を開催しました。毎回参加の細川社長がH?agen-Dazsのアイスクリームを持ってきてくださいました! 当社でもセミナーの日にはお菓子を用意しているのですが、暑い日にはお菓子よりこれがなにより。ありがとうございました!

 
近道は『経営理念』『営業方針』づくりから…前回のおさらい
 さて、第4回(5/23)と5回(6/27)と2回、広報紙づくりの前にまず営業計画や事業計画を整理していきました。そして今回、この整理した(事業・経営)方針に沿ってようやく「記事のカテゴリー」を考える…というテーマに取り組みました。当日は細川社長に、自社の経営方針をまとめたものをお持ち頂いたので、より具体的なお話ができました。(な)
 
『経営理念』に基づいた『カテゴリづくり』で編集方向を整理
 今回セミナーのサブテーマは『会社の人・スキルや(企業、組織)文化を伝える』という大仰なテーマですが、難しく考える必要はありません。ただ何度もお話している通り、社報(会報)は商品チラシではありません。なのでまず人や社風や考え方を知ってもらおうということから…。つまりこうした側面から紙面のカテゴリづくりを始めます。
 ただ社報(会報)といえども営業ツールには違いないので、まずカテゴリ作りにあたって、あらかじめ整理した経営・営業方針から「表現したいもの(知ってもらいたいこと)」を考えます。細川氏の『ワーカーズコープLLC』では3つの理念がありました。「居心地の良い住まいづくり」「安心安全なまちづくり」「技術・技能の継承・発展」。
 
出してきたカテゴリをテーマ化して、いくつかの『コラム』を企画
 いよいよ紙面企画です! 先の3つの理念で言えば「居心地の良い住まい」はまだしも、「安心・安全なまちづくり」「技術・技能の継承・発展」は仕事としては見えづらい。でも会社経営の根幹にある理念(あるいはポリシー)ですね。見えづらくても本当は伝えたいところ。ここが社報のならではの紙面カテゴリづくりの第一歩。今回は記入シートで、「方針・理念」→「カテゴリづくり」→「広報タイトル」という順に記入。それを数項目作ってみました。
 
“テーマ”をコラム記事にして継続してみる
 フジイ企画で発行している社報『紙ブログ』の例では、カテゴリ=「営業方針」→タイトル=「○月度早朝営業会議より」。カテゴリ=「自社のサービス内容と考え方」→タイトル=「肌で感じる編集サロン」など。現在継続発行中なので、そこに自己評価欄もつくりました。他にも「藤井寛の雑記帳(社長の考え方を公表するため)」「私の休憩室(スタッフに親近感を持ってもらうため)」など、色々なカテゴリにそったコラムも同様に検討。
 
記事を『パターン化=コラム化』することで紙面もブレず継続が楽に
 このように『カテゴリ→テーマ』をコラム化しておけば、以後の記事やレイアウト構成を「パターン化」できるため、ラクに発行できるようになります。そこで大事な“記事内容”に力を入れることができるんですね。フジイ企画の『紙ブログ』も、カテゴリ、レイアウト共にパターン化しており、皆様が感じるより簡単に発行できていると思います。本当はパターンの中に一部イレギュラーな紙面(特集面)があったほうが面白いのですが、それはゆとりができてから挑戦しましょう。
 
 今回のお話は、方向性をもった紙面企画への一歩を踏み出そうとしている方にぜひお聞き頂きたい内容でした。以前、自社で新聞を作っておられた細川社長も「こういう話は最初に教えてよ~」と仰っておられました。でも根幹になる経営指針書ができたので7割方完了、あとは具体化のみです。



『肌で感じる編集サロン』で“スッキリ”コミュニケーション

 ようやく学校は夏休みですね。7月仕事は学校関係が中心なので、納品終了を境にフジイ企画も一挙に夏モード。この春から取り組んできた納品後の皆さんの“声”も戻ってきました。

 つい先日、ブログ『フジイ企画ニュース』(7月早朝営業会議報告)でもお伝えしたとおり、工程中にお応えできないお悩み事や疑問、またご不満などを解消するために、お客様アンケートを実施することになり、このコーナー『肌で感じる広報紙編集サロン』でフィードバックすることになりました。
 
スムーズな紙面づくりで大事なコミュニケーション
 お客様との仕事を始めるにあたって、当社が心がけていることは、お客様とのコミュニケーション。とりわけ入稿前の打ち合わせが大事で、最初に紙面企画をお聞きして紙面割の打ち合せが第一歩。色々なご相談にものっています。それに合わせて日程表(工程表)をつくってお客様と交換するのも当社の特徴かもしれません。ご満足いただける紙面づくりと迅速な発行には不可欠です。だから、大事なことは最初の広報委員さんとの(メール・ファックスも含めて)対話ですね。特に年度替りなどの区切りの時期には出来るだけお会いしてお話するようにしています。と言っても、残念ながら編集委員さんによってはお忙しい方が多くて、すべてのお客様にお会いできているわけではないですね。
 
皆様のイメージを紙面に反映するための流れ
 そして工程が始まって一番最初に、打ち合せして決定するのが紙面割(記事の割り振り)です。双方で確認した内容でレイアウト(続いて組版)をします。組み上がったものは、当然、お客様にとって初めて見る印刷物の体裁ですね。だから初校(1回目の校正)時が第2のコミュニケーション。出来上がったものが意図したイメージと違ったり、解釈が違っている場合、見て初めて気づく様々なニュアンスの違い、というのもありますよね。こうしたことも含めて初校(初めての校正)時に解決していきます。で、再校(2回目の校正)は訂正後の再確認ということで基本的には文字校正のみということでお願いしています。
 
工程上ご要望に十分お応えできないこと…について
 なぜこういうお話をするかというと、ご要望に対して十分にお応えできない作業もあるからです。よくあることですが組版後の“紙面変更(組み替え)”など。つまりページをまたいだ記事の入れ替えなどですね。製作の担当者は最初の打ち合わせで決定した紙面割りに基づいて編集・組版します。『新聞組版』は様々な“決まりごと”や“禁止事項(タブー)”があるので、それを考慮に入れて作業することに一番労力をかけます。なので単純に見える記事の入れ替えであっても、整合性をとるために全面組み替えになってしまうこともあり、納期の遅れにつながったり、できた紙面に責任を負えなくなったりします。
 当社としては決められた時間(納期)と“(紙面上の)品質”の両方を確保するため、最小限(といっても最大限の効果)の訂正でご対応させていただくことに…。
 
皆様の疑問、不満の解決のための『サロン』に
 このように仮に皆様の疑問、不満を感じていても工程中は対処できないこともあるので、“良い”だけでなく“納得”の紙面づくりのために、発行後と次の入稿前に皆様とのコミュニケーションを密にしていきたいと考えています。お会いできないお客様や今回のアンケートにご回答いただいた皆様には、このフジイ企画ニュースの『肌で感じる広報紙編集サロン』にできるだけフィードバックするようにいたします。どのような質問にも基本的にお答えしますので、アンケートのご回答とともにこのコーナーをご活用ください。



広報紙発行の本音?…経営方針をたたき台!!【第5回“紙ブログ”広報セミナー2014】

  毎月第4金曜日の夜に開催している「“紙ブログ”広報セミナー2014」ですが、前回(5月)のセミナーでは「よい紙面は“組織(会社)の指針”に導かれて…」ってことでしたが、じゃあ具体的に、どんな指針で自分たちは仕事(運営)をしているの…?ということで、6月度セミナー(6/27)は具体例として「番外編」で「フジイ企画の概要と現在の取り組み」というテキストを進呈してお話させて頂きました。

フジイ企画のプレゼン資料をチャッカリ利用…
 何で…って、実はこの数日前、ある仕事のコンぺでちょうど当社のプレゼン資料を提出したばかり。この「フジイ企画の概要と現在の取り組み」は入札のための資料なんだけど、当社の考え方と方向性を示したもので、フジイ企画を知ってもらうには“もってこい”だったので(宣伝してすみません)、テキストとして使うことに…。
 
発行するにはやっぱり方針と計画が必要だから
 でも、これには当社の営業方針から社報発行への経過も記載してあって、当社が皆様にお配りしている社報『“紙”ブログ』やブログニュースのコンセプト作りの原点なのです。広報紙を継続して発行し続けている会社や団体やグループは、基本的に発行する基礎となっている運営方針(企業なら「経営方針」)と運営計画が必ずあります。今回はいい機会だったので“実例”から考えよう…ということで俎上に乗せさせていただきました。
 
シビアな課題も見えてきて…
 参加者の細川さん(ワーカーズコープ社長)、毎月来て下さっているので、シビアに業務の考え方を見ていただく機会。前回は、細川社長にワーカーズコープの特徴を根掘り葉掘りお話いただいたので今回はウチが…。今の『“紙”ブログ』の編集方針と紙面があるのはここから…って話、面白かったかしら? ちょっと宣伝のしすぎ~!? でも、いつでも色々な“課題”満載ということもわかったのでは。
 
まず広報紙づくりの「本音の目的」をみてみよう
 なんだかフジイ企画の会社説明会みたいになってしまった感がありますが、こういった「経営計画・指針づくりが紙面の中身作りと連動している」ということなんですね。広報紙づくりを始めよう!といったときに、「どんな記事にしよう…」と言う前に、まず広報づくりの「本音の目的」を明らかにしてみては…。
 ちょっと固い内容に見えるかもしれませんが、このセミナー、お菓子を食べながらざっくばらんに話し合って進行しています。来月も7/25(金)の18時からセミナーを予定しておりますので、ぜひぜひお気軽にお越し下さい!(な)
 
 
フジイ企画の概要と現在の取り組みとは
 今回のお話は、当社の一例ということになります。指針をまとめるにあたって、当社では下記の4つの項目に振り分けました。インデックスのみご紹介します。
 「①会社概要」。ここでは、取り扱い品目、業務内容のほか、向かうべき方向性も記載。例えば、エンドユーザーまでの一貫生産を重視していて原則的には下請け仕事はしないこと。
 「②近年の動向・ニーズとそれに対する会社の考え方」。世の中もう紙媒体は必要ないといった「動向」に対して当社がどう考え、どんなアプローチをしていくか…など。
 「③商品・サービスの特徴」。宣伝メディアを振り分け、ネットにはない印刷物の特性を徹底的に検証し、必ず効果を出す広報物づくりで評価…など。
 「④今後のプラン・目標」。ペーパーレス時代での紙広報物の意義と価値を理解し、必要とするお客様に特化し『納得』の紙面づくりを提供するという方針…など。
 そうすると、あとはそのための仕組みはどうするのかとか、受注ラインを見直す必要があるんじゃないのかとか、そういった具体的な課題・目標を提起、そしてそのためのニュースの編集方針の確立。


新聞の『右開き』『左開き』の基準ってどうなの?[編集サロン]

20140701学校新聞は学期途中の発行って合理的でいいね
 ようやく7月。でも、もう大分前から真夏ですね。当社にとってこの時期は学校のPTA新聞が追い込みの季節です。大体の学校は休み前の終業式(夏・冬・春休み前)に発行するのですが、お客様の中には学期の途中(中学校なら中間テスト前後でしょうか)に発行されるところもあります。本音ところを言えばこの時期って合理的でいいですよ。(こっちも仕事が集中しなくて楽ってか?…それもあるけど)。ではなく新入生や学年を迎えてしばらくたった時っていうのは父母にとっても何事も動き始めたころ。一番情報がほしい時です。新鮮なタイミングに発行するのはグー。

 日本語文章の基本は縦組み。タテヨコ両方あっても『右開き』が基本
 6月前半に納品を完了させていただいた、そうした学校の広報委員長さんから一本のお電話がありました。何か起こったか!?と話をお聞きしてみると…。
 「当校のPTA新聞は『ヨコ題字』(「○○新聞」という題字がヨコ組み)なので紙面を開く方向は左じゃないか(左開き)」って…言われたとのこと。日本語の新聞は文章は縦組み。左から右へめくる『右開き』が基本。当方は「これで正しいんですよ」ってお話になったのですが、写真のようなPTA新聞の組み方の場合、結構悩む人多いかも…。

 『題字』がヨコ組みでも基本がタテ組みだから…
 このお話、もともと『題字』だけのお話だったので、ちょっとお話が違うかもしれないけど、全ての記事がヨコ組みだった場合(欧文新聞など)は当然右から左へめくる『左開き』です。

 この紙面の場合『右開き』『左開き』どっちなん?
 でも日本人ってタテヨコ“両刀遣い”でね。同じ紙面(新聞)の中でもタテヨコ混在してて、こんな時迷っちゃうね。特にこの(例)ように、見開き2ページ分が先生紹介コーナーで横書きで紹介されている場合…つまりヨコ組みの方が多い。でもこれ、基本的に文章というわけじゃないからこのページだけみれば、右開きでも左開きでもいいんです。紙面全体が横組みの場合は『左開き』になりますね。でも今回は1面記事がタテ組み記事を基本にしているから、これはやっぱり『右開き』です。

タテヨコ“両刀遣い”のすごい日本の『新聞文化』
 日本語新聞は近代以後、タテヨコ混在になったからレイアウトに相当な自由度があるんですよ。新聞100年の歴史で、これの複雑であっても美しい編集セオリーが作られてきた。欧米の新聞ではこんなことできませんよ。これってスゴイ文化だと思いませんか?

実は日本のマンガ文化もそう。右開きで相当複雑なことやってますよ。その点についてはバックナンバーで取り上げてみたのでアドレス書いておきます。是非お読みください。