紙面製作に“アナログ編集”って表現はおかしい!

 最近当社でも少なくなってきたのですが、機関紙や広報紙をお客様立ち合いのもとで、割付用紙(レイアウト用紙)を使って編集レイアウトする作業があります。新聞工程というのは短納期なので原稿入稿後に即、紙面を確定しなければ、後の工程に差し支えるからです。新聞タブロイド版なら担当1人で4面~8面分を1日で完全レイアウト(印刷仕上がり状態を確定)します。

編集現場に「アナログ」という概念はない
 こうした紙面づくりの現場に当社の新人スタッフや大学のインターン生を、実習として同行させる場合があるのですが、その報告や感想に「アナログ編集現場」「アナログ的…」などの表現がよく出るので甚だ困ってしまいます。編集という作業の理解の度合いが低いので仕方がないかもしれないが、編集現場ではアナログやデジタルという概念自体がナンセンスなので、今一度編集作業の根本的な理解が必要だと感じています。
 
割付作業は最短で“完成レイアウト”を行うこと。
 仕事の流れをお話しするとあたりまえのことですが、新聞の編集(割り付け)作業は当然、原稿締切り直後(それが日単位なのか時間単位なのかは別として)に開始。割付用紙(レイアウト用紙)に記事の流れ、見出しコピーと紙面デザインや文字飾り、写真の大きさやトリミングなどを確定。つまり最短時間で最終仕上り状態を決定することですね。そこでGOサインがでて初めて生産ラインの工程(組版→ゲラ出力→校正→製版→印刷)という手順になります。
 
アナログという言葉が出てくる背景は生産工程のデジタル化?
 アナログという言葉が出てくる背景にはには、技術革新で生産工程のほとんどがデジタル(コンピュータ)化されてきたこと。当然、新聞組版ラインも完全デジタル化されて久しい。アナログとはそれ以外の手仕事の総称として言ってるだけであろうが、編集現場はいかに時代が進もうと人間の頭脳を酷使する仕事であることに変わりはない。必要なのは編集作業の最短の効率追求と紙面の合理性と完結性(確定性)が求められるだけです。
 
背景に「デジタルの方が早い」とする根本的な勘違い
 その勘違いの最たるものと思われるのが、レイアウト用紙を使う手作業よりデジタルの方が早いと思っているフシがあること。編集作業は先にものべたように紙面割(どの面に何の記事を掲載するか)、同じ面でもどの記事をトップにするか、見出しをどのようにつけるか、そのスペース配分と字体とデザイン飾りは…。でもこれはいつでも人の頭脳作業です。ただ(デジタルの方が早いとする)勘違いの元凶と思われるのが、次々刻々入稿する記事の本数確定や文字量の計算です。今でも電卓をつかって…ですね。また写真のトリミングや縦横寸法出しなど。結構厄介でじゃまくさい作業が多いからでしょう。
 
「入力してから」では遅すぎる…どこまでも人の経験とスキル…職人仕事
 でも、紙面のレイアウト現場は、ギリギリの時間で上がってくる原稿がデジタル原稿か手書き原稿かは当然問えません。外部依頼原稿などはファックスや速達なんかで来る。イラストや写真もデジカメデータとプリントの混在。その日(時間内)のうちに紙面レイアウトを確定するのに、まず入力してから…では遅すぎる。「何しに来てるんや」と怒られますよね。だから今も昔もかわらない職人仕事なんですよ。デジタル化するより絶対に早いんです。そんな中での見出し(キャッチコピー)、レイアウト、見えない段階できれいなデザインを確定する。ここではなにより経験、スキルがモノをいう。職人仕事の世界です。



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