1面トップに「ごあいさつ」なんかいらない!? [編集サロン19]

20120911 いろいろな(新聞形式の)広報紙を見ていて、やたら多く目につくのが、一面トップに「ご
あいさつ」が並ぶ紙面です。出だしからまず会長のごあいさつ、次に副会長のごあいさつ。順番もエライ方からというように…。
 
「1面あいさつ」は本当に紙面のメインですか?
 誤解を恐れずに言えば、1面「あいさつ集」はよほどの内容でない限り読み飛ばされやすく、全紙面の印象を固くしがちです。編集方針にも関係することですが、「あいさつ」は紙面のメインではないケースがほとんどなので、できるならめましょう。新聞は雑誌のように、一つの要素でページ完結するようなものではなく、記事の配列や順序にちょっと高度な「編集者判断」が必要となるとお話しました。
 
新聞紙面に「慣例的」順序は必要ありません
 新聞紙面の特徴とはなんでしょうか? 一つの紙面に様々な要素の記事が掲載されることですね。細かく見てみれば報道記事のほかに、コラム(署名記事)、告知文、写真集、あいさつ文のほか、小説・詩など要素の違った記事が混在していて、そういう意味ではちょっと特殊なメディアかもしれません。
 書籍 籍雑誌の場合ならページが基本単位になっていますから最初にご挨拶があってもあまり違和感を感じません。読者は目次をみたり、いきなり繰ったりして、すぐ読みたいところにページ移動しするからです。新聞の場合はページ建てが少ない分、1面が全紙面へ大きく影響します。つまり雑誌や書籍のように、最初にごあいさつがあって、目次があってという『講演会のプログラム?』のような紙面順序に全く意味がありません。
 
トップ記事は全紙面を通じて一番伝えたいことをビジュアル表現で
 それどころか1面というのは、明らかにその紙面の顔になります。読者が手にとって一番最初に目にするページです。([編集サロン17.18]でもお話しましたが)題字もしかり、その号の全記事を通じて一番伝えたいことをトップにするべきですね。特に「アイキャッチ」といって、写真やイラストで眼で読者を引き付ける工夫が特に1面では重要です。そこでの印象が全紙面の印象となって確定することになります。
 
どうしても…の時は、ちょっとした工夫を
 ただ、理屈は分かっても、これまでの慣習を止めるのは、勇気が…という場合もありますね。方針を変えるにはコンセンサスの問題もあります。そこで究極、1面で「ごあいさつ」をどうしても読ませたいのであれば、、印象的・今号の紙面に象徴的なアイキャッチ時事原稿(写真・イラストのエトキ記事=写真説明)とセットして、配置しましょう。そういう工夫で、写真記事⇔挨拶記事を相互補完する効果があります。(イラスト左)
 
 誤解を避けるために申しますと、「ごあいさつ」が不必要だと言っているわけではありません。発行意図や発行者の思いを伝えるのも広報紙の大きな役割です。それは紙面構成でより読まれやすい工夫があって、実は本当はそこが編集者の力の発揮しどころなのですが、そのお話はまた別の機会に…。

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 現在連載中の本タイトル『肌で感じる編集サロン』(6月スタート分から8月27日分)の記事を小冊子にまとめました。「限定版」として皆様に無料でプレゼントしています。
 なおこの小冊子は、9月25日(火)よりスタートする『肌で感じる編集ミニ講座』(無料)のテキストにもなりますので、ぜひこの機会にお申し込みください。お送りさせていただきます。
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 (また当社HPの『なんでもメール』や、メールinfo@fujii-net.com、お電話でも受け付けます。)


『題字』は紙面全体を考えて…プロでも陥る落とし穴 [編集サロン18]

20120904  前回に引き続いて『題字』についてのお話。広報紙の『題字』とは、ネーミングとロゴデザインをセットにしたもの…というお話をしました。題字を作成するとき、担当者はまずロゴデザインに加えて題字全体のデザインを考えていきます。書体はこれで…背景は?…イラストも…と。練りに練って出来上がった渾身の一作。「これいいやん、すごく迫力あるね」。でもちょっとまって! それが結構、お客様に却下されることが多いのです。なぜ?(ま)
 
この題字「編集者泣かせ」になってませんか?
 上の写真の題字(=「元気ふれあい…」)は、実際デザイナーが作成してお客様に提案して却下されたものをパロディにしたものです。(実物は全1段[横長]なのですが、出所がバレてしまうのと、いい写真がないので変形しました。あまりよくないかも…)
 このデザインって、よくよく「編集者泣かせ」ですよ。何が言いたいのかというと、ちょっと目立ちすぎ!? この題字で1面トップの記事内容を読者に印象付けようとすると、編集者は毎回大変な「技」を必要とします。
 
紙面における『題字』の役割をちゃんと理解して!
 紙面で一番に伝えたいのはタイトルではなく、(トップ)記事の内容です。もちろんタイトルを覚えてもらうのも大切ですが、タイトルがトップ記事の見出しと相殺されるのはよくありません。目立ちすぎる題字にしてしまうと、編集者(整理記者)は毎回それを超えるさらに目立つ見出し・デザインを考えなくてはならず、記事とは違う印象になったり、(ヨコ見出しが使いにくいなど)割付の自由度が狭まってしまうのです。新聞では題字製作者(デザイナー)が、読者はもとより記者や編集者の立場、紙面における題字の位置づけを理解して製作しているかというのが大きなポイントになりますね。
 
ベテランデザイナーによくある『自己完結型』!?
 グラフィックデザイナーで週刊誌、書籍等の表紙デザインの経験ある人でも、新聞は初めて…とかの方も結構多いのかな? デザイナーさんはともすれば、自分の担当したスペース内でのバランスで完結してしまうことが多いのです。普通はそれが当然で、例えばチラシなどは、一人のデザイナーが必要なデータ・アイテムを使いきって全体を構成していきますね、週刊誌の表紙もページ完結なので、あまり気にならない(むしろ優れている)。だけど多種の要素を盛り込む新聞で、同じ判断で仕事をされると困ります。(微妙な差は難しいのですが)これ、デザイナー歴『ん十年』という人でもよくあることで、私たちはこれ『自己完結型』(フジイ企画用語?)と呼んでいます。
 
『発行者』は、自分の媒体全てを把握してます
 怖いことに、(フジイ企画の)お客さまはそういうことは瞬時に見抜きます。もちろんお客様はレイアウトやデザインはしませんが、『発行者』であり『執筆者』でもあるお客様は、即「勘」で判断して『この題字、前のに戻して!』とか、ポンと言われてしまいます。
 理屈抜きで判断されるので、デザイナーさんからすれば「これだけ考えたのに…デザインの価値が分かっていない」ともめることになるのです。でもディレクション能力のある人なら、これは「デザイン力」の問題ではなく、広報物全体の構成に関係することだと理解してますから、お客様に提案する前に『通訳?』して修正を求めていきます。(お客様は発行主体なので、当然、自分の紙面の位置づけをしっかり把握していますよ。)
 
 前回「題字は安易につくらず、納得いくまで…」というお話をしましたが、一歩進んで、つまり単一アイテムで考えるのではなく、『題字』作成は紙面全体を見渡せる編集者(エディトリアルデザイン)の視点が一番大事だということですね。



『題字』は『大事』、安易に変えないでね、[編集サロン17]

 

  広報紙・機関紙を作るとき、「○○通信」や「○○だより」など、名前(タイトル)をつけますね。その名前とロゴデザインをセットで私たちは『題字』と言っています。

 私たちが発行する広報紙のネーミングが決まったら、紙面のイメージに合った『題字』のデザインを考えていくのですが、『題字』は一度作ったら基本的には変更しないというのを前提にして考えていきます。
 
 皆さんの広報紙の『顔』に磨きを
 広報紙というのはテーマに沿った定期発行が原則ですので、『題字』は今後その広報紙の『顔』となります。そのため、紙面そのものを覚えてもらえるまでは、紙面の規格(サイズ)、題字の文字デザイン(タテ/ヨコ、大/小を含めて)変更しないのが原則です。
 そのため『題字』に関しては最初の紙面企画と同様に、セットで考えていくべきで、これから構成するであろう、いろんな状況を考えながら、納得いくまで何度も時間をかけて検討したいところです。
 
 安易なイメチェンは『信用力』低下?
 よく色々な広報を見ていると、ネーミングこそ変えていなのだけど、題字のタテ・ヨコの変更や、使う書体など、その時々紙面の都合で結構安易に変えられているケースが目立ちますが、これはあまりおすすめできません。題字の安易な変更は、発行趣旨のブレや方向性の変更と捉えられやすく、極端な話では「読者離れ」につながってきます。
 

 タイトルロゴもブランドになれば読めなくてもいいの…!?

 ところで話は変わりますが、書店に並んでいる雑誌、特に女性のファッション誌では『タイトル文字(題字)』の上にモデルさんなどの頭がかぶっていることが普通になっていますね。中には4分の1しか見えていなくて、もうほとんど読めない!っていう場合も多いです。これってどうなんでしょうか?
 
「週刊フ○画」はどうなの!?
 表紙(銘柄?)を選んで買う人が多いから、ブランドに相当な自信を持っていて、中身勝負ということでしょうか…? でも、欲しい雑誌が決まっていても、結構探しづらい~!
 これ、たとえば「週刊フジイ企画」(写真のイラスト)だったらタイトルを読んでもらえるでしょうか…ね?(ま)



編集者は常に『読者』の目線で [編集サロン16]

20120821_01  新聞社では取材・記事執筆→編集整理(レイアウト)という流れの中で、最低二人の人が関わっています。原稿は取材各部(社会部、政治部など)の記者が書き、見出し・レイアウトは整理記者(整理部、編集部)というように役割が完全に別れています。
 取材記者は自分の執筆した記事を「見出しを付けずに」文字原稿だけ(「捨て見出し」といって記事の分類用のタイトルをつけることはあります)を整理部(整理記者=編集者)に渡すことになります。ここでの整理記者の仕事は記事の重要度を自分で判断し、トップ、サイド、あるいはボツ…と決めること。そして決めた記事の中で、どの部分を見出しにするのかを考え、またレイアウトを考えるというのが仕事です。
 
取材記者は見出しをつけない(つけてはいけない)
 ではなぜ取材記者は見出しをつけないのでしょうか。取材記者は現場に行って取材し記事を書くのが仕事ですね。いわば細部に至るまで生々しく現場を知っているということになります。つまり「足で稼いだ」内容のある記事であるほど、記者の思い入れが強いということなのです。思いれが強すぎると、ともすれば読者と記者の立場の違いが乖離してしまうということが起こります。その緩衝材として整理記者(編集者)が「第一読者」として中に入るのです。つまり単純に役割として「しない」のではなく、「させない」システム自体が編集者の仕事となっているのです。
 
「編集者によって紙面は変わる」責任は重大ですね。 
 整理記者は取材各部の記者から集まってきた原稿を、見出しをつけたりレイアウトデザインをしたりして実際の紙面をつくる。ここで重要なのがいわゆる『読者の視点』なのです。編集者は取材記者が書いた記事を、見た瞬間から「読者の視点」でと捉えるということになるのですが、発行者として何を伝えたいか、また読者にとって何が知りたいかを考え調整する。
 当然ですが整理記者(=編集者)には取材記者が書いた記事に対して加筆、訂正する権限はありません(割愛することはできる)。また記事に書かれてない見出しをつけてもいけません。ですが記事のポイントをどこに置くかは整理記者(=編集者)が決めるので、整理記者の責任は重大ですね。[ミニ講座9] 、[ミニ講座11]でも書きましたが、見出しの力点の置き方(価値判断)だけで紙面の見え方がまったく違うということも起こります。つまり、すごく主観的な判断になります。
 
広報委員同士で見出しを付けあいましょう
 さて、私たちに立ち戻って考えた場合、書き手と編集者が結構一体なわけで、自分の書いた文章に自分で見出しをつける場合、この「読者の目線で」というのが一番難しいのではないでしょうか。先ほども述べたように見出しには、記事にない文言を使用してははいけません。「自分は詳しく知っていることだから」とうっかりやってしまいがちですが、それなら記事でしっかり書きましょう。広報紙を数人で発行している場合、広報委員はしっかり他人の文章を読んで、お互い違う視点から「見出し」の付けあいをしたらいいと思います。とにかく広報誌は多くの読者に伝えることが使命です。そのためには『読者の目線』を常に意識しながら作ることが大事です。(ま)
 
 ちなみに、フジイ企画のこのブログも、基本的に本文・イラスト・編集と別のスタッフが担当しており、見出しやタイトルは編集の段階で付けれられます。なので文字通り編集され、最終的に全く別の切り口のブログになっていることも実はよくあるのです。
 
 きのう報告いたしました通り、「編集何でもミニ講座」で続けてきました当コラムの名称を、当方の思いと内容に合うように服装(タイトル)のみ新調させていただきました。ただ内容と切り口は当面同様なので通番にて進めていきたいと思いますので、皆様のご意見ご感想をよろしくお願いいたします。


見出しの繰り返しはタブー、でもネットではOK!? [編集ミニ講座](15)

 見出しの繰り返し表現はやめましょう
 何といっても見出しの役割は記事に読者を引き付けることです。限られた文字数でいかにインパクトのある表現をするか…というのが良い見出しのポイントだと以前お伝えしました。そのためには、無駄な部分を省きながら練り上げていくことが必要です。
 
 無駄な部分とは何でしょうか。たとえば同じ言葉が繰り返されている場合…「校区の治安を守れ!校区内の見回りを実施」「治安のため安全委員会を設置」このような場合、どちらも言葉が重複しているか意味が重複していてくどい感じです。「治安を守れ!校区の見回りを実施」「安全のための委員会を設置」などにした方がすっきりとわかりやすい見出しになります。これは見出しに関わらず、一般的に説明文などを書く時にも同じですね。
 
 でも、「砂漠に人・人・人」のように、あえて繰り返して強調したい場合もあります。(なぜなら普通、砂漠にラッシュはないもんね。=編注)無駄な繰り返しは読みづらいですが、「リズム」「語呂」の良さを生む繰り返しは、読みやすい見出しの要素になります。ところで…
 
HPづくりではこの『見出し論』は通用しません。
 ところで、困ったことにホームページ製作を受注した場合、我々の見出し感覚は通用しません。なぜならネットでは『読まれる』という以前に『探し出される』ということが最低必要条件だからです。つまりインターネットではきれいなページ、読みやすいページより、まず『SEO(検索エンジン最適化)』にかなうページ作りが前提となります。そのため、我々がいわゆる「見出し」にあたるタイトル部分にタブーとしている『繰り返し』をつかったり、言葉のリズムや流れより『汎用性のある言葉・表現』を重視したページ企画を行うこともあり、製作会社との戦術会議ではこの『表現方法論』が一番紛糾することです。
 
ちょっと整理すると
フジイ企画のスローガン(ネット以外)
本当に伝えたいことを伝えられる形に… 編集プロダクションフジイ企画
初期のころのHPタイトル(2002)
フジイ企画のホームページへようこそ
SEO対策後のHPタイトル(2007~)
広報誌・学校新聞の作り方、PTA新聞・社報・機関紙作りのお手伝い/編集プロダクション フジイ企画(大阪)
となり、あまり美しい表現ではなくなってしまいます。
 
楽しい「見出し」を画像で生かしてSEO対策
 ちなみに当社のHPでは苦肉の折衷案で、SEO対策上の文字タイトルに、見出し効果を補強するためにデザイン文字画像を採用したりして見出しとして補強し、より読みやすいページづくりを考えています。(イラスト)
製作例=当社HPの「広報誌の作り方講座」参照。


本文の「行間」と「読みやすさ」を考える [編集ミニ講座](14)

 

  行間についてですが、基本になる文字のサイズによって行間は変わってきますが、新聞の場合、本文行間は半角(本文横サイズの半分)あける、というのが基本になっています。つまり、13級なら行間は6.5級、14級なら7級です。新聞などではそれがいわゆる「読みやすい」とされているわけです。

 私たちはの両方足して『歯送り』という単位を使います。『歯送り』とは行頭から次の行頭までの距離のことを言うので、先ほどの13級なら歯送りは13+6.5=19.5級となります。14級なら21級です。我々略して「本文14の(歯)オクリ21でいこか」などと言っています。
 
でもこれって、すべてに当てはまるのではありません。
 ところで、この行間「半角アキ」という基準は、繰り返しになりますが、新聞の本文でのことで、同じ新聞でもヨコ組みや、写真説明(エトキ)ではまったく違います。写真説明ではほとんど行間はベタに近く、14級に対して2級ぐらいの行間(つまり歯送り16級)の方がまとまって見やすいということもあります。「なんでや」といわれると写真に対して「間延び」するから…などとお答えしています。
 
『行間を決める』とは『読みやすさ』の基準をきめること
 言ってる本人にもよくわかりませんが、「行間を決める」とは読み易さ、見やすさの基準を決めることですよね。本文の文字が多い部分では行間が広い方が読み易いですが、先ほどの写真が中心なら説明は字数も少なくサイドの役割であり写真の障害になっては困るからつめる…という判断です。
 
 読者に対してどうか…以外の基準はありません
 ましてや新聞以外の媒体、書籍やパンフレットになるとまた全く違ってきます。(フジイ企画の基準では)たとえば書籍は最低でも六分と一応決めています。書籍は文字が主流でそれが何十ページにも亘るという前提で、読書時間を勘案して行間と文字のポイントを考慮することが最も重要になってきます。また反対にパンフ類はビジュアルが中心で短時間勝負なので、先ほどの写真説明と同様、行間より紙面全体が拡散しないよう工夫します。
 
 つまりは、常に「読者に対してどうか」というのが「唯一」の判断材料です。その上でもっと「読みやすい」「疲れない」表記法の黄金律があるかも…と模索中です。フジイ企画流は「教科書ではなく常に根拠を示す」こと以外の決まりごとはありません。

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この漫画どう読みますか!? タテヨコ文化再考 [編集ミニ講座](13)

 前回、[編集ミニ講座](5)でタテ組ヨコ組のお話をしました。今回はもうちょっと踏みこんで…。
上のイラスト、皆さんはどう読まれましたか?
 
①泣いている赤ちゃんにミルクをあげると元気になりました
②元気な赤ちゃんにミルクを飲ますと泣き出してしまいました
 
 横組みで紙面を作る場合、以上の写真を左から順に並べると、たとえキャプションが無くとも読者は縦組みが基本の日本人でも ①「泣いている赤ちゃんにミルクをあげると元気になりました」のように読み取るのではないでしょうか。
 
 日本語は基本が縦組みなので小説や新聞、雑誌などは「右開き(右へめくる)」(ノンブルは右→左)が基本です。一方日本語でもヨコ組みされた論文集や、理数系などの書籍は欧米と同様に「左開き」(ノンブル左→右)というお話をしましたね。
 欧米文化圏は横組み、左→右流しなので、当然普通に①のように読み取ります。
 
アラビア文化圏では…
 ところで同じヨコ組みであっても 右→左文化圏があります。たとえばアラビア文化圏の読者は逆に読みます。アラビア圏ではたとえ横組みだとしても右から読むという文法があるからです。戦前の日本と同じですね。(日本は縦組み右→左流しが基本なので、横組みの場合でもこれを当てはめた)…とどうなるかというと②「元気な赤ちゃんにミルクを飲ますと泣き出してしまいました」と読まれてしまいます。
 
 
ところが…この話を社長が聞いて、「それより日本の漫画ってどうよ」というお話になりました。
 日本の漫画本は、日本語の場合縦組みが基本なのですが、これを結構堅持したまま横に流したりしているよな。これって相当複雑なんとちゃう、というお話になりました。
 もともと縦一段見たら、左に行っ て縦一段と言うのが基準、縦組み右→左流し、つまり縦組み文化そのものなのですが、タテヨコ混在文化を習得している日本人ならではの発想で、構複雑な読み方をしていても違和感を感じずに読んでるって日本人ってすごいな、と感心してました。
 

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実践上のお悩みや課題を一緒に『編集ミニ講座』で解決(閑話休題)

 

写真=江戸浪人!?谷村柊丘ディレクター(中央右)による7月度第3回社内研修 (7/9) の様子

 
中お見舞い申し上げます。

 7月度は、毎年ながら夏休み前の学校関係の広報紙や団体の『暑中見舞(お盆)号』の発行が集中し、皆様には大変な「ご無沙汰」ということになってしまいました。6月後半からスタートした「編集ミニ編集講座&談話室」も発足早々でちょっと滞りぎみで…申し訳ありません。夏はこの小さな『イベント』が終わると「恐怖」の長期の夏休み!! 小さな事務所ではなかなかこの調節がうまくいかないのが悩みです。
 
『答え』より『質問づくりに力を入れてます
 6月からスタートした『編集ミニ講座』。広報紙(誌)編集を実践されている皆様の疑問、質問にお応えしようという趣旨で始めました。今までスタッフで担当を決めて回り持ちでやってきたのですが、スタッフが実際何をやっているかと言えば、実は、編集の教科書を持ってきて模範解答をつくっているのではなくて、ほとんど皆さんからでるであろう、また自分たちが常日頃持っている『疑問』『質問』自体をあぶりだす作業ばかりなのです。なんか不思議だと思われるかもしれませんが、的確な「質問項目」さえできあがったらほぼ作業は終盤。でもそれができなければ答えが作れないのです
 
『実践してるからこそ』分かる答えを皆様とともに
 皆様は、広報編集にまつわる教則本が書店に行けば沢山あるのをご存知ですよね。それらを見て理解して実行すればほぼ完璧な広報紙がつくられるはずですが、そんな簡単にいかないでしょう? 本当のことを言えば私たちも程度の差こそあれ、実は皆様と全く同じなのです。そうした疑問を「初めて担当する人って、これが一番わからないだろうね」とか、自分だって「本当は未だにわからんけど…」ということを自問自答しながらやっていく作業って、結構消耗することが分かりました。
 
具体的な疑問であるほど経験=答を作ります
 一つの疑問から一つの切り口が生まれる…みたいに結構大変だけど「経験したからわかる」というメソッドは皆様に伝わるだろうし、そういう切り口でお伝えしたいと思っています。そのためにはぜひ、皆様の具体的で切実な『疑問』をお聞かせいただければ幸いです。経験者だから語れる切り口を色々ご紹介したいと思っていますし、おそらくそれがこの講座の独自性ではないかと思っています。言い訳がましくなりますが少々ペースダウンするかもしれません。でも私たち自身にとってもいい勉強なので継続したいと思っています。お電話でもメールでも結構ですのでぜひ皆様のご質問をおよせください。
 

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活字の大きさの感覚をつかもう [編集ミニ講座](12)

 本文で使用される日本語の文字の大きさは? 

 日本語の本文用の文字の大きさは媒体の違い(新聞、雑誌、書籍)にもよりますが、11~14級(8~10ポイント)が主流です。…とお答えするのですが、そもそも、その大きさの感覚わかりますか?
 文字の大きさを示す単位は、現在はオフセット印刷(平版印刷)が主流なので、「級」「ポイント」などの単位が使われます。今皆さんが使っているDTPソフト(イラストレータやインデザインなど)では、このいずれかではないでしょうか。
 『インチ』か『センチ』の違いが
 この基本単位は度量衡の基礎が『インチ』か『センチ』かの違いで、1ポイント=1/72インチ。1級=0.25mm(1/4mm)となります。「ええっ、そんなん覚えられへん」ということですが、これは基本知識として知っておくだけでいいのです。ただ「級」については私たちがよく使うセンチが基本なので計算するなら、たとえば『10級の文字といえば0.25×10=2.5mmか』ぐらいは知っておいた方がいいでしょう。
 
 パソコン作業で退化!?した「大小」感覚
 それより大事なのが、この活字の大きさの感覚です。たとえば9ポイントの文字ってどのくらいの大きさか、感覚でつかめてますか? 最近の会報紙や機関紙で、本文文字が必要以上に大きすぎたり、逆に小さすぎて読みにくいものを多く見かけます。その主な理由は、パソコンの普及によるDTP(デスクトップ・パブリッシング)が原因だと考えられます。今の編集組版現場を見てみると、レイアウト全体や、写真の配置、文章校正などの全ての工程がデジタル化されています。その中での細かい作業はPCの特徴である「拡大縮小ツール」を使って作業されているせいで、実際の大きさが分からなくなっているのでは…と思われます。
 
 「割付用紙」を使って作業するのが大事
 私たち本業ですら、編集の基本である割付用紙によるレイアウトをせず、いきなりパソコンに向かうことが多くなっているので大きな反省材料です。この感覚を養うためには、編集・組版に際しての基本である紙の『割付用紙』に立ち戻り、実際の大きさの紙面を念頭に、読みやすい文字の大きさを決めていく作業が不可欠だと考えています。字の大きさは『級数表』などをたえず見て感覚的に覚えていきましょう。

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実際の紙面で見出しを変えてみる [編集ミニ講座](11)

  見出しは記事の内容を一目でわかるように見せるものです。そのため、一目みてどんな事が書いてあるのかを理解してもらわなければいけません。短すぎると情報が少なすぎて意味がわかりにくいし、長すぎると一読できないので読み飛ばされてしまうかもしれません。新聞の一般紙だと、記事の大きさにもよりますが、メインの見出し(主見出し)8字、袖見出しが10文字程度が基本になっています。ところで…。(ま)

 
実際の紙面を反省材料として見ると…
 写真左は、実際に当社で製作をした、まちづくりのためのコミュニティ紙のトップ記事の見出しです。実はこの見出し、小さい見出し(脇見出し)とメインの見出し(主見出し)を逆にすべきだった、と発行・配布後に検討会議で意見がでたものです。
 これは、小さいお子さんのいるお母さん達が、自主保育を始め、子どもたちへ出し物をしたのをきっかけに本格的な人形劇団を立ち上げ活動している、という記事でした。
 そこで見出し案として出たのが「きっかけはママ友同士の自主保育からスタート。本格的な人形劇団に…」というものでした。
 
視点を変えると見出しも変わる
 この紙面はお母さん達の活動を紹介する広報ではないので、「本格人形劇団(WHAT)」をやっているということより、「なぜ(WHY)」というところを大きく扱うほうが、より興味深く、目にとまりやすい見出しになったかもしれませんね。…ということで、同じ見出しで主見出し、袖見出しを入れ替えて作り直してみました。実際は発行してしまっていたので「あとの祭り」なのですが、見出しの表現方法についても検討会議でいつも議論しています。
 
★昨日郵便局に行ったら、涼しげな暑中ハガキが色々並んでいました。今年はどんなのにしようか、まだ決めかねています…。
 

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