読みやすい紙面とは【制作部あれこれ14】

読者の目線で手に取りやすい紙面

 春はコンクールのシーズンで、お客様から受賞のご報告をいただくことも多いです。〝桜咲く〟は私たちにとっても嬉しい瞬間です。紙面の評価は、編集された方の熱意が正直に反映されていることが多いです。読者を意識した紙面づくりは審査員に限らず誰の心にも伝わりますね。
 さて、今回はお客様に対して新年度レクチャーの時にもお話ししている、新聞づくりワンポイントをご紹介いたします。

文章、写真、見出しの読みやすい割合は
 まずは記事について。読みやすい紙面の割合の目安は、文章記事が「紙面全体の1/2以内」、写真・図表・カットが「1/4(1ページ5点以内)」、見出しが「1/4」です。
文字が多すぎる紙面は全体が白っぽく、読者にとって読み疲れしやすくなってしまいます。かと言って写真ばかりの紙面では、写真アルバムになってしまいます。ニュースとして記事を読んでもらえて、写真などもしっかり見てもらえる紙面割の目安ということです。あくまで目安なので、全体の記事本数や写真点数によって都度バランスを考える必要があります。
お客様にはご要望に応じて、広報紙に合った「割付用紙」をお渡ししていますので、紙面イメージを書き込んだりしながら記事内容を検討してみてもいいかと思います。

メインは集合写真より動きのある写真を
次は写真について。たくさんの写真があれば選択の幅が広がるので、構図を気にせず色んな角度から、より多く撮影することをお薦めします。ちなみに、撮影対象の周りには少し余白をもたせてください。画面いっぱいに撮影すると、その形でしか使用できないため、レイアウトの自由度が下がってしまいます。
全員が映っている集合写真をメインイメージにする方が結構多いのですが、写真アルバムではないので、人数が少なくても記事を象徴的に伝える写真こそ、紙面の情感をよく伝え、紙面効果も高まります。全員写真がどうしても必要な場合は、全員の顔が分かる程度に小さめに使いたいものです。編集者の意図が紙面をイキイキさせます。

(社報『紙ブログNEWS』2023年春 第51号)



カラー紙面について【制作部あれこれ13】

紙面をカラー化して読みにくくなった!?

カラー印刷の広報紙が増えましたが…
 最近、「色」の扱い方について考える機会が多くありました。弊社のお客様でも、少し前までは白黒(1色)印刷の広報紙がほとんどでしたが、今ではカラー印刷の方が多くなっています。カラー印刷の技術向上や効率化が進み、価格差が縮まってきたことも、理由のひとつかと思います。

カラーにすれば効果が出るとは限らない
 それではカラーにした方が良いのでしょうか? 結論から言うと、「カラーにすれば広報効果が出る・見やすくなる」とは限りません。
 刷り色もあくまで表現手段のひとつなので、何を一番伝えたいのか、編集方針に立ち返って考える必要があります。
それどころか、文章中心の読ませる広報紙の場合は、カラーにすると目移りしてしまい、かえって読みづらく感じることもあります。

使う色を制限して紙面に統一感を
そういう場合にどうするか? 一例として、弊社社報『紙ブログNEWS』はカラー印刷ですが、紙面は文章中心なこともあり、スミ(黒)と緑の2色刷り風のカラーリングにしています。写真・イラスト以外で使用する色数をあえて制限して、なるべく落ち着いて読めるようにしています。
場合によっては、カラーイラストをわざわざ1色に変換して表現することもあります。

刷り色変更は十分検討した上で
一方で、カタログ・パンフレット・写真集など、ビジュアルを重視する場合はカラーが有効です。カラー印刷の強みを活かしつつ、紙面の目的や内容も理解したうえで、より適切なデザインをご提案していきたいと考えています。刷り色の変更を検討される場合は、まずご相談ください。

画像=『紙ブログNEWS』2018年正月号3面。現在はベースカラーをスミ(黒)と緑一色に変更。

(社報『紙ブログNEWS』2023年正月 第50号)



縦組み・横組みについて【制作部あれこれ12】

色んな挑戦ができる縦組みレイアウト

元来、日本語は縦書きが最も自然
 日頃お客様よりよくいただく相談で、「縦組み」「横組み」の組み方向変更のお話があります。
 パソコンやスマホの普及で、あるいは公文書の規定が変わったりで、欧米流「横組み」の紙面が増えてきたように感じます。ですが日本語の新聞の場合、縦組みが一番紙面になじみます。今回は、縦組み紙面の主な特徴についてまとめてみます。

縦組みはレイアウトの自由度が広がる
縦組み紙面ならではの特徴として、縦組み紙面中で横組みの記事を混在させることができます。よく一般新聞でも見られると思いますが、縦組みを基本とすると、レイアウトの自由度が高くなります。例えば、囲み記事の中身を横組みにすれば、紙面にメリハリがつきます。
一方、横組みをベースとした紙面づくりの場合は、すべての記事を横組みにするしか方法がなく、縦組み記事を紙面に混在させるのはかなり無理があります。

縦組み紙面なら題字もタテヨコ自由
また、結構前の話ですが、お客様から「うちの新聞は題字(=新聞名)が横書きなので、紙面を開く方向は左ではないか?」とご質問いただいたことがあります。開き方向については、縦組み紙面の場合は左から右へめくる「右開き」、横組み紙面の場合は右から左へめくる「左開き」ですが、本文ベースが縦組み紙面として構成してあるなら、題字や見出しなどは横書きであっても全く問題はありません。つまり、縦組み紙面は縦題字、横題字のどちらも使うことができるため、デザインの幅が広がります。

「写真集」ページは全面横組みでOK
ところで、「体育祭」のような写真メインのページでは、記事や写真説明文などの全てが横書きということもありますね。縦組み紙面なのに全面横書きなのはどうなの?と思われるかもしれませんが、これも縦ベースの柔軟性で紙面自体が「写真集」扱いになるので、違和感はありません。
ただ、全紙面の比率を考えたとき、例えば全4ページ新聞のうち3ページ分が横書き記事だったりすると、判断が難しいです。その場合は、せめて1面トップ記事を縦書きにしたレイアウトにしたいところです。

画像=縦書きと横書きが混在した見開きページ

(社報『紙ブログNEWS』2022年秋 第49号)



製作進行表について【制作部あれこれ11】

計画が立てやすく進行状況が見える

初心者でも全体の流れが見えれば安心
 弊社では、まず最初にお聞きするご希望に沿った「製作進行表」の作成を基準としています。これは、お客様側の校正日程と、フジイ企画側の制作日程とを、お互いに確認し合えるようにするものです。

日程上遅れる入稿も予め計画に入れる
 この「製作進行表」の交換は、お客様側だけでなく、弊社にとっても品質管理上、重要なものになってきます。印刷物の制作では、情勢等に合わせた記事の変更や追加が想定されます。それだけでなく、行事日程などによっては、取り決めた入稿日には間に合わないこともあります。こういった場合であっても、主軸となる基本日程のなかで、例えば「初校戻し時に追加出稿する」と予め決めてお互いの理解があれば、進行表を変更せずに、スムーズに校了まで工程を進めることができます。

イレギュラー入稿も日程内調整が可能
 印刷業者一般に言えることですが、社内の業務がひとつの時期に集中し、イレギュラーな変更ができないことが多くあります。想定外の入稿遅れであっても、基準の進行表があれば、どこで調整すればいいかの確認がスムーズに行えます。イレギュラーであっても、ミスや紙面品質を落とさないために重要視しています。

状況に応じて臨機応変に進行を
 この「製作進行表」を基本としながら、時には状況準拠のサービスもあります。例えば選挙宣伝物や日刊紙など、スピード感が求められる案件の場合は、細かい日程までは決めないこともあります。お客様のスケジュールやご要望に応じますので、お気軽にご相談ください。

(社報『紙ブログNEWS』2022年夏 第48号)



文字校正について【制作部あれこれ10】

分かり易い表現の間違い探しゲーム

 春から新しく広報担当となる方もおられると思いますが、新聞づくりに慣れた方にも振り返っていただきたい「文字校正」を今回のテーマにしてみます。

原稿執筆時とレイアウト後の印象は違う
 取材して記事を書くことと、組み上がった紙面の「校正」は、お客様の大事な作業の一つです。
 校正作業は、取材記事を書かれた方にとって、印刷状態(ゲラ刷り)で見る初めての紙面になります。
 読者が見る状態となった紙面は取材原稿を完成させた時と違って、印象ががらりと変わって見える場合が多いですね。それは、読者は「記事・写真・見出し」を3点セットで見ることで、全体のインパクトが広がるためです。そうなると、紙面になった新たな印象を元に、文章表現を変えたくなることもあります。

校正の基本は誤りの発見と読みやすさ
ただ、校正作業の基本は、①誤字脱字の発見、②「てにをは」(助詞)の誤り、③「表記ゆれ」(一つの意味を表す言葉に対して異なる表記が混在している)、④句読点の位置、文体の不統一(ですます)などのチェックが一番大事です。

読者に伝わるように5W1Hを確認して
文章のわかりやすさに焦点を当てるなら、記事に「5W1H」が含まれているかを確認してみてください。さらに、記事を「面白く」するには、この「5W1H」の価値(順番)を変えたりして工夫してみます。

固有名詞や連絡先は必ずチェック
また、文章表現とはあまり関係ないので見落とされがちなのは、人名・団体名などの固有名詞、住所・電話番号・アドレスなどの連絡先です。これらの誤りは印刷後の影響が大きく、場合によっては刷り直しとなってしまいます。イベント等の日時、数字のある箇所なども要注意です。
弊社では、お客様の校了後に社内校正も行っており、明らかな間違いは訂正できますが、これらの箇所は正誤の判断ができません。
また、最近多くなってきたQRコードの掲載ですが、こちらもスマホなどで、必ず読み取り点検を忘れないようにしてください。

校正するときは様々な視点をもって
広報紙は記事以外にも、見出し、図、写真、色合い、レイアウトなどチェックすべき点が多く、お客様にとっても大変な作業かと思います。少し時間をあけて視点を変えてみたり、複数人で回覧したりしてみてください。弊社でも極力ミスをなくすよう、取り組みを続けています。

(社報『紙ブログNEWS』2022年春 第47号)



続・割付用紙の話【制作部あれこれ9】

紙面完成イメージを先取りする割付作業

 弊社では、ご要望に応じてお客様の広報紙に合った「割付用紙」をお渡ししています。以前のコラム(第4号)では使い方についてお話ししましたが、今回は、割付用紙を取り巻くこれまでの歴史についても簡単に見てみます。

割付用紙は設計図
 「割付用紙」とはレイアウトを行うための用紙、いわば設計図や指示書です。文字・写真・イラスト・見出しの寸法などの詳細な指示を割付用紙に書き込みます。さらに、この指示通りにパーツを貼り込んだ厚手の用紙を「版下台紙」といいます。
 活版印刷時代の1970年頃までは、この割付用紙をもとに、組版担当者が版を製作しました。活版印刷とは、鉛でできたハンコのような文字を一文字ずつ手作業で並べて版をつくり、それにインクを付けて用紙に転写する印刷方式のことです。

割付用紙と版下台紙は同じもの
次に写真植字(写植)が主流となった1980年頃から、字組・段組に合わせて写植を貼り込み、割付用紙と版下台紙が同一のものとして作成されるようになりました。さらにデジタル普及後(ワープロ等)には、設定通りの字組・段組で出力して、切り貼りすることも可能になりました。
現在では、パソコンで印刷物をつくるDTP(デスクトップパブリッシング)化が進み、版下台紙そのものを作成することは少なくなりました。つまり、今までレイアウトから版下制作までそれぞれの職人がおこなっていた工程を、1人でできるようになったのです。

現在でも手作業の割付が基本です
そんななか、今でも割付用紙は活躍しています。割付用紙には、文字サイズや行数、段数が方眼紙のように印刷されているため最適な文字数が分かり、レイアウトにも専念できて、作業が大幅に短縮されます。さらに、モニター上だと大きさの感覚を掴むのが難しいですが、原寸の割付用紙を使えば実際の紙面に近いイメージでレイアウトできます。
また、弊社ではお客様の元への「訪問割付」も行っていて、その時の割付作業は全て紙の上でおこないます。字数計算やパーツの切り貼りも電卓や手作業なので、一見データ入力した方が速そうに思うかもしれませんが、様々な原稿(手書き、FAX、生写真など)が混在している現場で、お客様に完成イメージを見ていただくには、これが最短なのです。実際の版下制作もこの割付用紙通り行います。
DTP現場においても「版下」「組版」などの用語が今も残っているのが面白いですね。今後も印刷の世界は様々な変化があるかもしれませんが、デジタル・アナログそれぞれの長所を活かして、紙面づくりに取り組んでいきたいです。

写真=今でも割付用紙を使っておこなっている編集作業(兵庫県土建一般労働組合「建設ひょうご」)

(社報『紙ブログNEWS』2022年正月 第46号)



紙面装飾を考える【制作部あれこれ8】

目的は〝伝える〟こと 過剰な飾りは逆効果

 新聞やパンフなど媒体にかかわらず、印刷物の目的は「情報を伝える」こと。かっこいいレイアウト、おしゃれな色使いなど、視覚的な要素が果たす役割も重要ですが、それらはあくまで手段のひとつです。

装飾のしすぎは読みにくくなる
 専用のソフトウェアを使えば、影、光沢、グラデーションなど、様々な装飾を作ることができます。ワードやエクセルでも、結構凝ったものを作れますよね。
 こういった効果を使うと確かに目立ちますが、使いすぎると読みにくくなったり、全体のまとまりが無くなったりして、読者に負担をかけてしまいます。あちこち装飾するのではなく、「ここぞ」というところだけに使うようにして、意味なく派手にしないようにします。

フォントへの飾りもつけすぎないように
文字自体にも、太さ、色、サイズ、下線、斜体…など様々な装飾方法がありますが、これらを併用しすぎても読みにくくなります。文字の縦横比については、正体(=縦横変形していない文字)が原則です。大見出しは縦横比を多少変えることで迫力が出ることもありますが、その場合でも過剰にならないよう気をつけます。

媒体・目的の違いを理解したデザインを
カタログ・パンフレット等は、書かれている内容がより重要なので、フルカラーであっても装飾は見出し色の変更程度にとどめます。反対に、単色スミ版の広報紙では、白黒であってもカラフルに感じられるように、ある程度装飾を施すことがあります。

ユニバーサルデザインの視点から
ところで、「ユニバーサルデザイン」という考え方があります。年齢、障害の有無、性別、国籍などにかかわらず、できるだけ多くの人々がわかりやすく、利用できるようにデザインすることです。
パッと見て読みやすく、わかりやすい紙面づくりを心がけることは、この考え方に通じるところがあります。それは文字の組み方、フォント選び、行間設定など細部にわたって工夫の余地があります。お客様が「伝えたい」と思っている情報が、十分に伝わるような紙面づくりを追求していきます。

(社報『紙ブログNEWS』2021年秋 第45号)



写真原稿について【制作部あれこれ7】

たくさん撮影して「自慢の一枚」選ぼう

写真はとにかくたくさん撮ろう
 今回は新聞づくりにおいての「写真」がテーマです。編集レクチャー等でもよくお話しすることですが、写真はとにかくたくさん撮ってみましょう。色んな写真があれば選択の幅が広がります。構図をあまり気にせず、いろんな角度から撮影することをお薦めします。例えば会議中の写真などは、何も無いテーブルの広い面ばかりが写り込んでしまいがちです。慣れてきたら撮影角度を色々試してみて、写真内に不要なスペースが写らないようにしてみましょう。

集合写真だけでなくスナップにも挑戦
 全員の集合写真も必要ですが、撮られる人が意識しないスナップ写真の方が、情感をよく伝える場合もあります。例えば運動会なら走っている姿、勉強会や集会なら参加者の表情……のように、カメラ目線でなくても、人の動きや場の雰囲気が伝わる写真もあるといいです。

撮影するときは余白も意識して
可能であれば、撮影対象の周りには少し余裕をもたせてください(図参照)。画面いっぱいに撮影すると、その形でしか使用できないため、レイアウトの自由度が下がってしまいます。特に顔写真を画面いっぱいに撮影される方が多いのでご注意ください。ただし、拡大使用する場合があるので、解像度は高めに設定してください。

撮影の道具や設定もいろいろ
解像度の話が出ましたが、カメラの設定は出来る限り「高品質設定」にしておいてください。最近はスマホでもある程度きれいに撮れますが、機種や設定によっては、印刷した際の鮮明さが足りない場合もあります。できればデジカメがひとつあると良いかと思います。補足ですが、ネット上の写真やワード・エクセル等に貼り込んである画像は、基本的に画質が低いので印刷用には不向きです。

プロのカメラマンではないからこそ、たくさん枚数を撮って、あとから選ぶことを意識してみましょう。思わぬ瞬間が撮れているかもしれません。

(社報『紙ブログNEWS』2021年夏 第44号)



手書き原稿の処理【制作部あれこれ6】

記念の寄せ書きをキレイに残すために

 PTA広報紙の卒業特集号で毎年よくご依頼いただくのが、手書き原稿による紙面です。今回はこちらについて少し解説してみます。
 手書き原稿とは、書道作品や寄せ書きなど、文字打ちせずに手書きのまま紙面に掲載する原稿です。基本的にはスキャンしたままではなく、印刷に適した形式に変換したり、大きさを微調整したり、補正(ゴミ取り)などをおこなっています。その作業内容の一例を紹介します。

①スキャン(現物支給の場合)
 できる限り高解像度設定でスキャンします。ここで素早くスキャンするため、原稿は各クラスごとなど、なるべくまとめていただくようお願いしています。

②画像補正
白黒データに変換し、明るさ調整などで細かいゴミは飛ばします。不要な罫線や、罫線と重なってしまっている文字などは、この時点で処理しておきます。元々の文字が細かったり薄かったりすると、この段階で消えかけてしまいますのでご注意ください。

③トレース
ベクターデータへ変換します。簡単に言うと、この変換によってきれいな仕上がりになります。その後、②で取りきれなかったゴミを取っていきます。一つ一つ取るのは大変なので、必要な部分だけ保護して、不要な部分は一括で消します。

④整列・文字補正等
名前やアンケート項目など、各要素をあらかじめ作成しておいたフォーマットへ整列させます。同時に、文字の大きさも調整します。手書き文字なので、どうしても文字の形・大きさ・間隔にバラつきがあるため、一文字ずつ整えていきます。すべて終わったら、バラバラにならないようグループ化します。

ここまでで、やっとレイアウトのスタート地点です。この作業は一例ですので、原稿内容に合わせて対応いたします。原稿の作り方についても、いくつかお願いごとがありますので、ご入稿前に一度ご相談ください。

(社報『紙ブログNEWS』2021年春 第43号)



記事の主な種別【制作部あれこれ5】

記事性質の2本柱

 広報紙、特に機関紙を発行する機能は大まかに2本の柱に分けられます。まず一般的に言われる①「報道」。つまり報告やお知らせなど。これはイベント告知や行事報告など、皆さんの活動や組織の考え方を読者へ知ってもらうための記事です。発行者(主催者)から読者への「お知らせ」も含めて一方向のコミュニケーションです。
 もう一つの機能は、②「仲間同士の交流」。人物紹介コラムや読者投稿などもそうですが、仲間の輪の活性化を促すための記事です。発行者と読者間、また読者同士の言わば「双方向」のコミュニケーションになります。

バランスを意識して
この大まかな二つの機能に対して、①「報道」的記事に偏り過ぎていると、「行事がおこなえない」状況になったとき記事が無くなってしまいます。
そもそも広報紙の発行は組織の活性化、つまり②会員(読者)同士の「交流」が活発であってこそ、その広報紙は有効に機能していると言えます。①は行事が多い時は割と簡単に書けるのですが、②はちょっと工夫が必要です。

紙面上で交流を
そこで紙面企画の際には、最初から会員(読者)に焦点を当てたコラムテーマをたくさん作ることをおすすめします。そもそも目的の一つが組織活性化ですので、仲間の個性を表現することができれば、非常事態こそ助け合える有効な紙面となります。

(社報『紙ブログNEWS』2021年正月 第42号)