画面と印刷の色の違い【制作部あれこれ22】

条件によって微妙に変わるカラー印刷

刷り上がった紙面の「色が違う」!?

 多くの団体が年度末号の広報紙を発行する2~3月。お客様にとってこの時期は、これまで数回の校正のやり取りを経て、刷り上がった紙面をしみじみ見直す時。すると、「校正時と比べて色がくすんで見える」ということがよくあります。
 近年、ゲラ刷り校正のやり取りは、電子メールなどネット経由で送受信することが通常となってきました。
 本来はこれをプリントアウトして確認するのが通常作業なのですが、お客様が多忙であったり、予算の面も考えて、画面上で処理することが多いです。

パソコン画面と印刷物の色の表現の違い

そもそも、この発色の違いは、色の表現方法に違いがあるからです。まず画面(パソコンやスマホなど)はレッド、グリーン、ブルー(RGB)の「光の三原色」を組み合わせて色が表現されるので、明るく鮮やかに見えます。
一方、印刷物はシアン、マゼンタ、イエローの「色の三原色」と黒を交えた(CMYK)インクを重ね合わせた4色で表現され、RGBに比べて表現できる色域が狭く、特に鮮やかな青や緑、蛍光色などは印刷では再現しにくくなります。
この表現方法の違いにより、印刷時に色が沈んで見えることがあります。

こだわりたい場合は「色校正」でチェック

この補正は結構専門的で、弊社では使う用紙や印刷機などを予め勘案し、ある程度仕上がりを予測しながら補正もしています。
写真集や画集、商品パンフなどの〝ビジュアルが命〟の制作物を手掛ける時は、「色校正」という、いわゆる試し刷りの工程を加えて色合いの細部を確認していきます。大きく分けて、本番と同じ環境と同じ用紙で印刷する「本機色校正」、高精度なプリンタで印刷する「簡易色校正」の2種類があります。用紙の種類によって発色に違いが出てくるので、仕上がりの印象も確認することができます。ただし、色校正は時間と費用が結構掛かります。

印刷物ごとに合わせた色調調整を

通常の広報紙制作では、色校正まではあまり行わないのですが、弊社では画面の見た目だけではなく、お客様の使われる紙質を考えて、刷り色の色調、彩度などを微妙に調整しています。それでも印刷・製版オペレーターによっても変わってくるので、まだまだ研究の余地があると感じています。

写真=印刷前に「色校正」紙を出して刷色をチェック。

(社報『紙ブログNEWS』2025年春 第59号)



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